小濁焼が2年目の方もあり、窯焚き、釉薬ともに充実して来た感がありますので作品について入念に評価してみようと思う。
釉薬
釉薬は今回4種類使用した。
A.中村灰マット、B.中村灰鉄赤、C.村越藁白、D.h24小濁窯クラブ釉
内、AとBが今年開発した釉薬で、Aは安定した良好なカオリン系のマット。Bは酸化で黄色が強く出て還元でマット赤〜黒の鉄の色濃い釉薬だ。 写真はBの釉薬。左が還元、右が酸化
釉掛けの状態からごらんいただくと、黒っぽいものがD. 白っぽいもの左から2列目と3列目の下がA. 赤一番右がB.
まずはAの作品 中村灰マット
▲皮鯨灰マットマグ(村越)/今年の土の雰囲気が出る薄掛け
▲皮鯨灰マット中鉢(村越)/落ち着いた表情。マグよりさらに薄掛け
▲灰マット小皿(斎木京子)/比較的厚掛け。たまり部分は不透明なつや消し
▲灰マット湯のみ(宮下均)/緋色の出る粗い白土に程よくかけた。細かい貫入も
中村灰マットは比較的厚掛けがよいようだ。白土で美しい半透明の白となる。
続いてB.の作品
中村灰鉄赤
▲マグ、花器(斎木京子)/上のテストピースでも判るように、左のマグは酸化で、右は還元気味。花器は窯の最上段に置いてあり、マグは中段に配置したため変化した。
中村灰鉄赤は窯変が激しいようだ。
続いてC.
村越提供の藁白
▲茶碗(斎木京子)/比較的人気の釉薬となった。掛け具合、窯の様子で景色が変化する。
D.h24小濁窯クラブ釉(昨年開発した釉の繰越品)
▲刷毛目湯のみ(村越洋一)/酸化に近いが自然と薄い緑色が出る。
最後に焼き締め
焼き締めは鉄の雰囲気が良く出ている。高温でブクが出始め熱の弱さを感じる
今回の窯について
温度の上昇が順調で上下のゼーゲルとも9番が完倒しているため充分な熱量があると判断したのだが、2段目の藁白が溶けていない。今少し引っ張る必要があったようだ。
また、中性〜酸化気味である。もう少し還元で焚けるようコントロールの課題を残した。