2012年12月4日火曜日

出産〜。このやきものにどれだけのものが詰まっているだろう・・

「自然をあじわうやきもの」・・原材料から全てに自らの手をくだし、過程を粗末にせず、思いと、願いと、偶然、奇跡・・。

投入した薪も瞬時に窯に溶けて無くなってしまうような高温に耐えて、本日産まれました。

もう何もいうことはありませんね。感謝感謝。

この体験を通して自然はきっと何かを見つけさせてくれたに違いありません。

そして本当の”味わい”は、このやきものと寄り添う時々に現れてくるでしょう。

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2012年12月1日土曜日

皆で最後の山を登った - 「1130みらい窯」

午前6:00/まだ薄暗いなか、24年度小濁窯クラブのメンバーが集まってきた。3日前に振った雪が根雪で残るくらい冷えている。
本日の窯焚きの目的は、今年の3月11日に開催したイベント(新洋軒のロイヤルライスで未来を思う日)の「みらい神社に奉納された御札の焚き上げ」と、小濁窯クラブの「自然を味わうやきもの」の最終目標である窯焚きである。
咲耶姫の祀られる小濁窯で手を合わせ待ちに待った窯焚きが始まった。

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午前7:00/黒谷さん、出口さん、宮下さん、綿貫さん、泰子さんは30分交代の窯焚きに入る。泰子さん以外は皆始めての作業で緊張気味。自分たちで割った薪の熱だけでやきものを焚き上げるなんて実感はまだわいていない。

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正午/窯内は900度に達し窯全体も温まってきた。2回目の食事をとりながら火の番を続ける。赤松と、小濁のカラマツ、近くの業者から手に入る廃材を利用して順調な昇温。これらの燃料は小濁窯クラブはじめ、関東の大学の研修生、地元の専門学校生、地域のかた等大勢の手によって集められ割られたものである。
午後から少しの雨があったが天候も荒れること無くラッキーな窯焚きだ。

午後2:46/御札の焚き上げ。赤松の枝には「みらいを思う日」で結ばれた108名の参加者、スタッフ関係者の未来への思いが、皆の手で窯に投入される。それぞれが何を願っただろう…。
3月11日に関わったかた、小濁窯クラブの出会い、11月30日という日、参加できなかった島田さんの存在・・。全てがこの日の窯焚きに繋がっていたかのような、そして何かを導いているような言い表せない偶然の連続だった。
新聞で知り訪れた新潟総合テレビの取材。その放映を通じて、また新たな出会いに繋がっていって欲しい。私は「世界が平和に」を祈りながらこれからの出会いに思いを馳せた。

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午後5:00/胎内は1200度に達しようとしている頃、皆には疲労も現れてきた。1000度を超えたころからは温度管理が難しくなり、私が主に火の前にいた。朝に着込んでいたツナギとアンダーウエア2枚はもう不要。窯が発する熱と窯鳴り、白く光る胎内の土は誕生の姿を形成しながら、森羅万象と私達が一体になって何かを産もうとしている実感がわいてきた。

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午後8:00/最後のピースを取り出して蓋を閉める。最高温度は1240度。この窯では直ぐに1000度位まで温度が下がってしまうが、2箇所に設置したゼーゲルのSK9は完倒、薪の状態が功を奏した。
無事の窯焚きに感謝し最後の願いを込め、「1130みらい窯」の窯焚きを終了した。

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(24年度小濁窯クラブの皆さんへ)

24年度小濁窯クラブの皆さん。大変おつかれ様でした。
自然を味わうやきもの」の、最後の大仕事が終了しました。気の遠くなるような数々の作業を経ての作業でしたが、”自然を味わう”とは贅沢な遊びであったようにも思いませんか?
プログラムを通して様々な出会いや偶然、自分の都合やお金ではどうにもならない自然の大きさを感じ、新たな価値観が生まれたはずです。学び合いもあり、誰一人欠けても同じ結果にならなかった事を思い返せば、偶然この世に生まれて時間や空間を共有できた仲間と、それを思い出深いものにしてくれた自然に感謝せずにはいられません。
このプログラムに参加された皆さんは、「やきものは誰が焼いて何がそうさせるのか?」を、きっとお気づきになったと思います。それは口では上手く言い表せないけどやった人だけが解る宝物ですね。
私は一緒にプログラムをやり遂げてくださった皆さんに感謝します。
あとは、それぞれが今回の思いをどう伝えていくかを考える番です。